1 ヨセフの生涯を辿る時、発見できるテーマの一つは「家族の回復」です。聖書において家
族とは神の祝福を受ける器の最小単位です。アダムとエバの創造、ノアの箱舟物語、ピリ
ピの看守一家の救いなどを通して、神は家族単位での祝福を与えるお方だとわかります。
2 ヨセフ物語はこの家族が崩壊してしまったことから始っています。複数の母親、異母兄弟
の確執、家長の妻や子に対する偏愛等複雑な問題の頻発したヤコブの家庭の問題の根源は
夫婦関係、親子関係における愛の歪みにありました。①誰かを愛して、誰かを愛さないと
いう歪み→家長ヤコブの愛は常に偏っており、ラケル、ヨセフという特定の誰かに注がれ
ていました。全ての子どもに対して「一番愛している」と伝えていますか。②状況によっ
て愛する、愛さないという歪み→ヤコブは失敗したルベンから長子の権利を剥奪し、ヨセ
フに与えていました。不完全な人間の愛は条件付きのものになりやすいのです。
3 しかし、愛の歪みで傷つき機能不全になった家族にも再度回復の道があります。家族が神
に向かうことでその道は開かれるのです。ヤコブの家族も問題の中で各自が取り扱われ、
信仰に立ち返っていきました。家族の中に愛の歪みを感じる時、十字架の主を見上げまし
ょう。主にしてもらったごとく愛し、赦し、仕えていく時に必ず新しくされます。どんな
家族にも問題や困難はありますが、そこに寄り添い、助けてくださる神を呼び求めましょ
う。希望は神にあるのです。