十戒は、「あなたには、わたしの他に、他の神々があってはならない」の戒めで始まります。唯一真の神だけを信ぜよと告げるこの戒めが、他に先立つ第一のものとして示されたのには、どんな理由があるのでしょうか。
1 第一の理由は、この戒めがあなたの人生の土台、心の中心が何であるかということを問い
かけているものだからです。イスラエルの民が出てきたエジプトは多神教の国であり、こ
れから向かおうとするカナンの地も、多神教の風土でした。しかし、人間が真の神の代わ
りに神として崇めるものは、偶像の神々ばかりではありません。富も健康も性も仕事も、
趣味や人間関係ですらも、いつの間にかあなたにとって真の神より大事な存在になってし
まうことがあるのではないでしょうか。あなたの心の土台は、今どこに据えられているの
ですか。
2 第二の理由は、この戒めが、そんな弱さを持つ人間に、真の神からこちらを向くようにと
呼びかけている言葉だからです。20:3は、文語訳では「汝、我面の前に我の他何物をも神
とすべからず」と訳されます。罪に沈み、神の御顔を避けて生きようとする人間に対し、
いつも神は輝く御顔を向けておられます。神を信じ、その輝きの中で生きることが救われ
た民に求められる歩みなのです。
3 本当に土台とすべき目に見えない真の神を信じず、目に見えるものを人生の土台としてい
くことは、決して本当の幸いをもたらしません。「あなたには、わたしの他に、他の神々
があってはならない」と仰る主の言葉を聴き、主を心の王座に迎え入れて共に生きるなら
ば、あなたの人生は必ず変わります。ひとり子を十字架に付けるほどの燃えるような愛と
真実に裏打ちされた、主の御言葉を握りしめて、「あなただけです」と告白し、真の神と
共に生きていきましょう。