1 第5戒の「あなたの父と母を敬え」は、聖書から取り立てて教えられずとも儒教的な背景を
持つ日本人にとってはなじみ深い教えかもしれません。しかし、聖書はこれを単に道徳的
な教え、人の道として語っているのでしょうか。
2 聖書が父と母を敬えと勧める、二つの理由を見出せます。
①神があなたを父と母を通して創造してくださったから。⇒人間の命のプランナー、デザ
イナー、クリエィターは創造主なる神です。その神が父母を通してあなたをこの世に生
まれさせてくださったのです。神への感謝と自分の命への深い肯定がある時、人は本当
の意味で父母を敬い感謝する生き方へ導かれます。子どもとして、また自分自身が父母
である場合も、神の深い御旨の中で互いが親子として出会わされ、共に生かされている
ことを感謝しましょう。あなたの親子関係の真中には、主がおられるのです。
3 ②親子関係が全ての人間関係の基礎・出発点だから。⇒父母こそ、この世に生れた誰もが
一番最初に出会う隣人です。その関係の祝福は、更に広がる人間関係の祝福の鍵を握っ
ています。しかし、実際には問題を抱える親子関係が多いのもまた事実です。マルコ5章
には、悪霊に憑かれたゲラサ人男性とイエスの出会いが出てきます。自分を破滅に追い
込む悪霊の支配から解放された彼に対して、主は家族の元に帰りなさいと告げました。
それは壊れた親子関係を、キリストの愛によって回復するよう促す言葉でした。本来な
ら地上で最も大きな愛を具現化できるはずの親子関係にも、罪によるほころびが生まれ
ます。しかし、自分も父母も十字架に命を捨てるほどの愛で赦され、包まれ、「生きよ」
と仰っていただいている恵みを知り、その恵みに生きることから、聖書的親子関係は始
まっていくのです。