1 ヤコブの手紙の著者は、イエスの兄弟ヤコブです。復活の主との出会い(Ⅰコリント15:7)
を契機に弟子の群れに加わり、やがてペテロと並ぶ初代教会の柱となりました。「祈りの
人」であったと教会史にその名を残す彼は、自らを「神と主イエス・キリストのしもべヤ
コブ」(1:1)と呼んでいます。肉の兄弟と呼べるイエスに対して、膝を屈めて礼拝すべき
お方として常に視線を向けていたのです。御心を求め、従おうとするしもべの心で主の前
に立っていますか。
2 この手紙の宛先は、ユダヤ以外のローマ世界に暮らすユダヤ人クリスチャンでした。ユダ
ヤ人という理由で異邦の地にあって苦しみを受け、更にクリスチャンという理由で同胞か
らも疎まれる二重の苦しみを受けていた人々へ、ヤコブは励ましを書き送っているのです。
3 注目すべきは「試練」がクリスチャン人生のオプションではなく、むしろ起きるのを前提
として書かれていることです。聖書の「試練」は「テスト」を意味する言葉であり、それを通
してクリスチャンに成長や益をもたらすものなのです。信仰の本質はそれを生かして用い
ることにあり、十人十色の試練をお与えになる神は、その試練を通してあなたの信仰が成
長することを願っておられます。あなたは今、苦しい試練に直面していますか。しかし、
そこで呟かず、投げ出さず、信仰を働かせ、みことばを握って祈り始めるなら、試練の中
でも、成長の花は必ずほころび始めるのです。