1 ぶどうはオリーブやナツメヤシと並び、イスラエル人の生活に欠かせない食物です。収穫
を前により多くの人手を求めぶどう園の主人は市場へ何度も出かけます。仕事を終え、報
酬が手渡されて一同はビックリ。12時間働いた人も、1時間働いた人も同額だったからで
す。この主人とは真の神であり、労働者は第一にイスラエル人のことです。神の民として
律法をいただきながら時と共に神から離れていた彼らに、そのままでは「先の者が後にな
る」、つまり異邦人の方が先に救いに入ると警告が発せられたのです。
2 しかし、それと共にこのたとえは人生の深い問題にも触れています。労働者とは全ての人
であり、このぶどう園での一日はそれぞれに与えられた人生の時間と解釈できます。その
前提でこのたとえを理解するための三つのポイントを発見できます。①「ぶどう園」⇒水
に乏しいパレスチナで手に入る瑞々しいぶどうの果実は豊穣のしるしであり、果実が実る
ぶどう園は喜び、恵みを象徴する場所でした。ぶどう園にたとえられる神の国(神と共に
生きる人生)は喜び、祝福、恵みに満ち溢れています。②「市場」⇒町の中心の市場では
よんどころない事情を抱えて仕事を求める人々が立ち続けていました。その人々に声をか
け繰り返しぶどう園へ招く主人の姿は、やるせない現実を生きる全ての人に声をかけて神
の国の恵みへと誘う真の神の姿に他なりません。あなたには神の招きの声が聞こえていま
すか。③「不平をぶちまける労働者」⇒不公平だと呟く労働者に、主人は誰にも恵みを与
えたいと願う自分の思いを明かしています。神の世界は、人との比較でなく恵みの視点で
こそその価値が見えてくるものなのです。あなたは今、自分の人生という与えられた1デ
ナリを感謝して受取っていますか。もしその価値を見失っているなら、全ての人のために
十字架にかかられた主を仰ぎ、み言葉に立って、1デナリの重さを取り戻しませんか。