1 第八戒は、「盗んではならない」と教えます。今日の社会で広く行われる盗みには、①万引
き、②知的財産の盗み、③プライバシーの盗み、④金銭の不正問題等があります。それら
犯罪に値する盗みはしないにしても、①借りたものを返さない、②公的な物の私的利用、
③他者の時間を盗む、④他者の考え・知識を盗む、⑤陰で他者の悪口を言うことはないで
しょうか。事の大小に関わらず、隣人の物を自分の物とするのは、「盗む」行為なのです。
2 では、なぜ人は「盗んではならない」のでしょうか。十戒が与えられた当時、最大の盗みは
奴隷とするために人を盗むことでした。聖書が「盗んではならない」と教えるのは、それが
他者の持つ自由や権利を奪う行為でもあるからです。あなたにも、人の罪の根本である自
己中心性のゆえに他者を支配しようとする思いはないでしょうか。自分は今、誰かの自由
や権利を奪ってはいないかと、日々み言葉の前に自己点検しましょう。
3 第八戒は、人が神から「盗んではならない」とも教えています。時間、能力、財産といった
あなたの持っているものは全て、神からよき管理と運用を期待されて託されているもので
す。それを忘れ、自らの思いと欲望のままに用いているなら、それは神から盗んでいるの
に等しいのです。あなたの持てる豊かなものを人のために使うのを惜しんだり、神への感
謝としてささげることを疎かにしたりしてはいませんか。主イエスと出会って、「盗む生き
方」から「与える生き方」へ鮮やかに変わったザアカイ(ルカ19章)に注目しましょう。あなた
は、御子を十字架に与えるまでに惜しみなく善きものを与えてくださっている神の愛を知
っていますか。その恵みを受け取り、より積極的な、与える生き方へ進みましょう。そこ
に、主の賜る真の幸い(使徒20:35)が待っています。