1 16章には、これまで言葉を発しなかったアブラムの妻サライが恨み言混じりの提案をする
姿があります。女奴隷ハガルをアブラムの妾とし、子どもを得ようとしたのです。当時は
一般的に行なわれていた方法ですが、結局は、神の約束を信じきれず自分で解決を試みた
ことに他ならず、その結果は悲惨でした。信仰による救いに、行いによる救いを混ぜ込む
のは危険です。神の約束を信じる信仰を全うしましょう。
2 画策どおりハガルは男子を妊娠しましたが、その後に起こったのはサライとハガルの反目
というお家騒動でした。アブラムの介入や庇護もなく、立つ瀬がなくなったハガルは逃走
を図りますが、現れた御使いに諭され、家に戻って無事に出産します。人の企む身勝手な
計画の果ての失敗。三者の誰もが解決できなかった、その失敗の後始末をつけたのは、あ
われみに富む神でした。
3 ハガルは自分に語りかけてくださった神を「エル・ロイ(私を顧みてくださる神)」と呼
びました。争いの当事者とはいえ、一番立場が弱い奴隷で孤独だった彼女は、そんな自分
をも顧み、将来の約束をくださった神によって変えられて家に戻ったのです。誰もが人生
における涙の谷を歩くことがあります。しかし、まことの神はそこであなたと出会い、あ
なたを顧みてくださる「エル・ロイ」の神なのです。涙の谷を、祝福の泉の湧き出でる所
と変えてくださる神にどこまでも信頼しましょう。