1 ルカに記される「平地の教え」は、マタイの「山上の教え」と酷似していますが、全く同
じではありません。最初に記されるのは、神の民の価値観についてです。主が幸いと呼ぶ
のは、①貧しい者、②飢え渇いている者、③泣く者、④憎まれ、けなされている者です。
いずれもこの世的価値観で見れば、幸せとは思えません。しかし、神がそこに共におられ
ると知る時、色合いが全く変えられるのです。
2 主が哀れと呼ぶのは、①富む人、②飽食の人、③笑ってい人、つまり今の現実で満たされ
ている人です。なぜでしょうか。往々にして一番大事なものを持っていない、また求めな
いことが多いからです。豊かさはこの世で人を楽しませ、満足させますが、真に大切なも
のを見失わせる危険性を秘めていることを忘れてはなりません。
3 ユダヤ教の若きエリートだったパウロは、豊かさの中に生きていた人でした。しかし、復
活の主と出会い、回心した後は多くの貧しさ、苦しみを経験します。豊かさと貧しさとい
う人生の両極端を味わった彼が、どんな境遇にあっても満ち足りることを学んだと語るこ
とば(ピリピ4:11〜13)に注目しましょう。その秘訣は、①神に信頼することです→あな
たの明日を知り、守ってくださる主なる神にとことん信頼しましょう。②神に任せること
です→思うに任せない人生を生きる最善の道は、神に任せることです。そこから強さが生
まれます。貧しい時も富む時も、どんな時もまことの神に目を注ぎ、共に歩みましょう。